無銭遊学 [往 年]
高卒以来のわが青春とは
よくバイトしよく学んだ
専門書等はとても高くて
我の一食分の百倍もした
古本屋で安く買い求めて
何度も読み分かったこと
先人の宝を身に着けても
我の力にはならないこと
でも単位は確実に取得し
金の掛る追試は免がれた
授業料免除は我にとって
女神の御心でありお陰で
卵入即席麺を食べられた
貧しい学生時代だったが
多くの友が助けてくれた
欅の西千葉キャンバスと
習志野馬小屋の無名寮は
生きる喜びに満ちていた
心に残る先生 [往 年]
たぶん小学校四学年の頃
秋の遠足で分校に向かう
泣いてる稔君が隣を歩く
そこには先生の顔がない
こんなにも泣いてるのに
先生は気づこうとしない
私達は見はなされている
先生達の暴言や暴力等は
幼い脳裏に強く刻まれる
六十数年経ても消えない
学校教育法の施行後でも
指導力不足で心無い鬼が
幾度も夢に出て魘される
小学校の楽しい思い出は
三学年の及川&長崎先生
及川先生が病気になって
長崎先生は代替の女先生
両先生は人間性の豊かな
とても優しい笑顔の先生
今でも心に残る先生たち
学校の究極的な役割は
心豊かな人間性の形成
登校するのが待ち遠し
早く朝が来てほしいと
思える学校でありたい
遥かなる山の [往 年]
呼び声 聴こえてくる
泣いた また泣いいる
若いときも 泣いたが
老いてもまた泣いてる
山田洋次原作 ここに
風見民子は倍賞千恵子
年月は流れて常盤貴子
高倉健から阿部寛ーへ
理不尽なこともあるが
春夏秋冬の流れの中で
風間牧場の景色が映え
遥かなる山に愛を呼ぶ
紫しめじ [往 年]
この時期になると
あのキノコを思う
父とよく採取した
懐かしい紫しめじ
とても美味かった
軽く茹でたあとに
大根おろしと酢と
しょう油で和える
二人が夢で出会う
そしてキノコ狩り
岩手南部遥かな里
花泉町の秋の空山
夢帰省 [往 年]
あぁぁぁぁまた遠くなる
今年こそはと今年こそと
母と父と兄の眠る北国へ
お盆を避けて帰省したい
出鼻くじけるコロナの渦
千葉も岩手も徐々に増す
またもやと叶わず北帰行
眠りの列車は秋野を走る
かの老松橋が鉄橋となり
母の面影 [往 年]
夏は疲れやすく
幾度も汗を拭う
眠りの中にいる
おらの夏休みは
母の面影とある
夏休みの宿題帳
友の家が順々に
宿題帳を進める
学習の場となる
苦心したご馳走
母心が用意した
冷えたスイカだ
食べれなかった
買えないスイカ
汗拭う母を思う
いづい(いずい) [往 年]
テントウムシが歩く
ミツバチが飛び回る
ダンゴムシが転がる
彼に思い出はあるか
知ある故覚えている
好い事より嫌な事を
思い出しては落胆す
思うもの通りいづい
嫌な幼き故にいづい
知がある故にいづい
※
「いづい」とは→
東北、北海道の方言
好い事を思い出して
テントウムシや蜜蜂
そしてダンゴ虫らに
お話してあげたいな
幻想脱却 [往 年]
金流川を二人で歩く夢を見る
水の流れのように時も流れて
もう情景もすっかりと暈けて
誰といたのか今では闇のまま
学校の黒板のようにいつでも
書き足したり変えたりできる
実にいい加減な幻想夢である
故に過去を遡るのは避けたい
我心に過去は無し、あるのは
過去から脱却する未来だけだ
口遊む [往 年]
一波一波と乗り越えると
菜の花蕾み優曇華も近し
空を見上げては口ずさむ
♪ 冬だから雨は似合わない ♪
♪ 冬だから 君を思い出す ♪
いろんな街で暮すごとに
この時期に 口ずさむ歌
白と黒の街一関市NSP
☆
♪
頭の中をぐるぐると
いろんなことが駆け回る
小さい時しかられたこと
仲間はずれにされたこと
そんなことまで思い出し
フフンとにやけてみせる
鏡の中の自分にネ
涙が こぼれているのに
冬だから雨は似合わない
冬だから 君を思い出す
♪
ここだけの話だけどね
おらの中ではこの君は
小さい頃のおらなのよ
雪というみんながいて
違う雨のおらがいるの
だから 苦しいときは
いつも歌を 口ずさむ
それがなぁそれがなぁ
年取ったら楽しい時も
口ずさむようになった
♪~♪はSNP天野滋さんの
詩を引用しています
興味ある方は YouTubeで
「雨は似合わない」を参照
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