よーい・ドン [土光風]

あったかぽかぽか
春ちゃんが見える
タンポポぽかぽか
耕運機が我を引く

少しやっては休み
野原寝転び空仰ぐ
谷のひびき峰の色
我も浮かす春の雲

この桜山の畑では
風まかせ雲まかせ
あせらずゆるりと
よーいドンとなる

野辺の花 [土光風]

ヒトは死して花になる
こなたかなたに咲く花
涅槃寂静となる咲く花
それを見ている青い空

動物は死して花になる
こなたかなたに咲く花
風にゆれている野の花
それを見ている白い雲

植物は死して花になる
こなたかなたに咲く花
昆虫達と戯れる野の花
それを見ている霧の虹
秋 陽 [土光風]

ようやく陽が昇る
身体の調子がいい
山ザクラの畑まで
トレッキングする

待ちに待った秋陽
乱世情から離れる
ペンと紙を置いて
鍬抱え畑に向かう

秋ミョウガを採る
山栗を食べてみる
山柿を食べてみる
秋陽が朝露で光る
梅雨の間に [土光風]

畑は山の麓の谷にある
天から雨水が辿りつく
山の有機肥料を運んで
自然のままにできた畑


ある時は作物が水底に
ある時は野鳥が食して
ある時は照りで枯れる
天の堆肥が実りを呼ぶ

欲もなくありのままに
天を見上げては微笑む
山は時なり空も時なり
限りなく自然に銷融す

光る家族 [土光風]
春風と共に旅をする
空の青さと海の碧さ
走る帆船は香を求む

旅心がワクワクする
海岸線が見えてくる
漁業をしている男姿
畑を耕している女姿

男と女の汗が光ってる
子たちの声が聴こえる
桃の花咲く島の香りは
あの波長 [土光風]

菩提寺の坊さんに会った
過去も未来も今もあまり
深く考えずに居るがいい
ぼっーとしていればいい
と気合を入れられて幾年
若きしは気が張っていて
老いし期にぼっーとする

周りをまじまじ見てみる
そういえば山も海も空も
ぼっーとして波長が合う
子供の頃感じていた波長
今の子供は感じるのかな
子供ども頃にあった波長
老人になって戻った波長
冷気元気 [土光風]

眠りから覚めた暁天
暖と寒の差は大きい
口一杯息を吸い込む
免疫は円にほほえむ
今日もみんな元気に
太陽は 東から登り
白い月は 西に沈む
ダイコンは食べ頃に
※ キューイ → 私の造語でキーウィフルーツのことです。
老い楽の旅 [土光風]

ひとは誰でも振り返る
老いた身体を横たえて
車窓に流れゆく光風を
若き日々に重ねている
取り出し一口を含んで
ゆっくりと飲み下ろす
閉じた瞼に車窓が映る
流行りの便利グッズを
できるだけ遠くに置き
老い楽の旅は土と共に
後幾許か過ごさんとす

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