摩尼珠花 [道 元]

春の長雨久し続く
傘をさして桜見る
土曜日曜が過ぎて
人目が離れる度に
薄紅に染まる花弁
欲無くまっすぐで
貪瞋痴の毒も無く
摩尼珠の心を持つ
花が有為空に咲く

※
摩尼珠花→
人は皆、尊い仏性を
人は皆、尊い仏性を
持っているが、その
ことに気づいていな
い、でも花は自ずか
ら仏性を持つが如く
咲いてる。それを見
る人々は感動する。
その一瞬、内奥にあ
る摩尼珠のような宝
(仏性)に繋がる。過
ぎるとまた貪瞋痴の
三毒に悩む人に戻る。
摩尼珠のような宝
を常に持っている花
を私は「摩尼珠花」
と勝手に名付けた。
有為(うい) →この世
山息吹 [自 然]

山の端にさくらが揺れる
この景色はとても好きだ
東風にうまく乗りながら
春の陽差しとともに戯む
目立たない洋装で優しく
笑っている貴女に会える
今日のコーヒーは美味い
仲間達は次に来るものに
東風を呼び陽差しを求む
藤が山腹に色づき始める
穏やかな陽差しの中で
大江健三郎の本を読む
今から50年も前の事
我れ青春に其本を買う
タイムトレイン [宇 宙]
もう七回は回ったので
昔昔の大昔の昔になる
今の世をかじ取る者は
私の知らない人たちだ
何を言わん何も言えぬ
老いた眼に見えるのは
変わらない暁と夕焼け
東京往き車内の情景は
老いた人を見る若い私
一眠りして目覚めると
若い人を見る老いた私
同じ私でタイムが違う
いつかはなるだろうが
いつのまになっていた

おおぉぉナイスタイム
素晴らしきかな人生よ
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