野ざらし農夫 [道 元]
畑で齧る春ダイコン
野山に響き渡る食音
病弱な血道管が蘇る
手を伸ばし捥ぎ齧る
夏みかんの瑞々しさ
病弱な血道管が蘇る
畑で飲むplumwine
野山に溶けて染渡る
病弱な血道管が蘇る
ここまで生きている
病気のお陰で生死を
超える生き方を識る
聞こえないもの識る
知らない香りを識る
四方の味わいを識る
☆
諸行無常
一切空也
応無所住
而生其心
幻想脱却 [往 年]
金流川を二人で歩く夢を見る
水の流れのように時も流れて
もう情景もすっかりと暈けて
誰といたのか今では闇のまま
学校の黒板のようにいつでも
書き足したり変えたりできる
実にいい加減な幻想夢である
故に過去を遡るのは避けたい
我心に過去は無し、あるのは
過去から脱却する未来だけだ