涅槃路 [白血病]
今朝涙が凍りついた
何度も危機はあった
ケンタロウが逝った
胆嚢炎になった時に
ピッピー鯉が逝った
腹膜炎になった時に
一番のボスが逝った
緊急病院へ向かった
痛みは点滴で収まる
悲しみの向こうには
仲間達が待っている
残りを懸命に生きて
涅槃路で落ち会おう
寂しい時は夢で会う
放てば [白血病]
一息をついて見上げる
紅葉の衣を脱いだ枝に
我が四肢も青空に放す
風は冷たく赤血が走る
落葉を拾い腰を伸ばす
紅い葉を光に透かすと
葉脈が喜び溢れている
☆
道元のことば通り
放てば手に満てり
我が心も紅葉する
始 動 [白血病]
肌赤疹・口唇ヘルペス
低気圧近づいて片頭痛
梅雨に入り体調優れず
もう十何年も続いてる
分子標的治療薬副作用
五六月免疫が低下する
コロナ・戦争で食糧難
教職員時間外勤務是正
食料自給率の向上法案
何十年も知らん振りが
漸次に動き始めるのか
CML [白血病]
今もなお旅は続いている
骨髄性白血病の始まりは
白血球数が18500也
長いが短い13年間の旅
以下は、白の始まりの詩
夢の旅Ⅰ
※ 参照
いつもそうであるように
いつもそうであるように
彼方に暮れゆく水平線は
穏やかに海を抱えている
床に寝ていてもベット毎
ふんわりと浮いては沈み
旅する気持ちに誘われる
車窓は静かに暮れていく
どんなにも楽しい日でも
陽が落ち闇に覆われると
もう朝は来ないのではと
不安になってしまうのだ
目覚めると移りゆく景色
幼年に見た景色が流れる
電車は海辺に沿って走る
景色も事も流れ行くまで
吾の晩年も夢の旅になる
はじめはスプリセル投与
それからボシュリフ投与
13年後、 白の状態は
白血球数が 4500也
IS%MBCR-ABL1 0.0130
※寛解には、未だ不到達
今は到達不到達に問わず
超楽しみに到達している
夢の旅Ⅱ
世に生まれた意味を悟る
流れる雲は我の影を隠し
大地に溶かし始めている
たおやかに山川に染まる
時計等俗なるものは無く
ここには山水の時がある
胸水は季節の変化に揺れ
耳鳴りは羽の音に染まる
新鮮な野菜は我の免疫也
朝から夕の而今を生きる
山水に溶けながら熟睡し
夢の旅 [白血病]
穏やかに海を抱えている
床に寝ていてもベット毎
ふんわりと浮いては沈み
旅する気持ちに誘われる
どんなにも楽しい日でも
陽が落ち闇に覆われると
もう朝は来ないのではと
不安になってしまうのだ
幼年に見た景色が流れる
電車は海辺に沿って走る
景色も事も流れ行くまで
※
病床のドア
いろんなドア
眠るとやはりドア
ドアだからドキドキするのかな
眠ると今度はどこへ繋がるドアかな
はじめは怖かったが徐々に楽しくなる
スイカカードを握りながら寝ることとする
思い切って途中下車して改札口を出るのもよい
旅とも [白血病]
スプリセルが去ってから
初冬の空を眺めていると
彼はやはり世のどこかで
誰かを救っているような
そんな気がしてくるのだ
新しい友がやって来た
名前はボシュリフという
初春の空を眺めていると
雲が晴れて山波が現れて
四方の山々が低く見える
ボシュリフ君に言っておく
残念なことに旅をするには
あまりにも成熟しすぎたと
前に進む足も力もやがては
衰えて眠りに近づいていく
今ならばこの地球号に乗って
さくら前線と共に
見たことも無い
聞いたことも無い
食したことも無い
無い無いものを感じられる
ボシュリフ君!!
さぁぁ!! 出発だぁぁ!!
わたしとい木偶の坊を連れて
淡いがとても濃い旅に出よう
ボシュリフ君!!
いっぱい 楽しませてくれよ
※
スプリセル
ボシュリフ
とは
ともに
分子標的治療薬という
白血病治療薬