冬 草 [往 年]
その夕べは風のない静かな岸辺
やはりここは金流川のほとりだ
幼き日に兄等と釣りをした川だ
兄が釣りに行くよと呼んでいる
その雪道を野ウサギと狐が歩く
やはりここは僕たちの原っぱだ
幼い日に兄と朝が晩まで遊んだ
あの兄が遊ぼうとわたしを呼ぶ
腹減る時も満ちる時も一緒いた
新聞配達も豆腐売りもなんでも
幼い頃からふたりでやり遂げた
疲れた父母の喜びを知っていた
やはりそれは兄が教えてくれた
その生き方が二人を支えている
※
どうしようも無い時
疲れて 眠れない時
兄と歩いた道ばたの
冬草を思い出すのだ
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