紫陽花が咲きはじめる








置き忘れた写心


鎌倉山を登るあなたの後ろ姿


夢中に追いかけて登るわたし


心を浮き浮きわくわくさせて


鎌倉山に声と姿を求めて登る


明暗の風と虫や鳥たちの気配


あなたとわたしの息づかいは


無限の山道を登り詰めていく








置き忘れた写心


源平の池に映る ふたつの姿


水面に浮く蓮に向けて迷わず


瞼のシャッターを切った一枚


暗闇に浮く水面のふたつの姿


あの時 脳裏をよぎった事を


置き去りにすれば良いものを


今でも 心に写ることがある








あなたはわたしに流されて


わたしはあなたに流されて


戻れないところまで行って


あなたは欲望に疲れて消え


わたしは己の醜さに疲れる


楽しかったが寂しい山道を


忘れかけてはまた思いだし


思い出しては 忘れていく


回顧される置き忘れた写心


















ロシア・ウクライナ戦


源氏と平氏との戦いは


人間と人間との戦いだ


人間の欲望故の戦いだ


人間は創造力を持って


人工物を作り上げてる


同時に人間は欲も生む


満たされぬ欲を求めて


人工物で人間と自然は


壊滅的な経過をたどる




紫陽花にはどう写るか


あなたは紫陽花


わたしは人間

わたしは


紫陽花にはなれるかな