残 像 [道 元]
77㎞程 離れている
歩いて行けば夕方には
会えるような気がする
無限の闇へと向かう頃
漸次に光が闇に消える
昼の残像は賢治の後姿
ようやく後姿が見えた
誰もが歳を重ねゆくと
見えてくるものなのか
我を忘れて自然に溶ける
床なる自然に抄き込んで
峰の色と谷の響を楽しむ
☆
これまでは
時の流れがゆるやかだった
残像現象が無い理由はそこにあった
時の流れが速く感じる歳の身になり
昼の残像が見えるようになってきた
私は贅沢にも この現象を楽しめる
私の人生はまだ捨てたものでは無い
みんな 土と光と風が教えてくれた
私は蜘蛛や天道虫や蜻蛉にもなれる
このように
明が 暗となり
遠くが近くなり
だんだんと
興が増えている
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