久しぶりに古都鎌倉を歩く


コロナ禍が 漸う静まるか


行く人も来る人も皆微笑む


腹も空いたし喉も渇いたし








うなぎ屋の前で足が止まる


煙美に誘われ暖簾をくぐる


まずは熱燗を一気に飲乾す


禍の淀む気持ちが流れゆく








空きっ腹に流れ染みわたり


今 吾はどこにいるのかと


軽い目眩の中で問いかけて


見下ろすと足が消えかかる








あらら あらら 左前かと


我が身を見れば 尋常なり


鰻を食する前にあの世では


たまらんと店主に請い願う


吾の鰻 はよ来られたしと








ふっと 窓下の流れを見る


ああぁぁ 南無釈迦牟尼仏


鎌倉にて我煩悩 時を知り


滑川の流れの淀みに現れる