薄明かりの中で薄がゆれている


その夕べは風のない静かな岸辺


やはりここは金流川のほとりだ


幼き日に兄等と釣りをした川だ


兄が釣りに行くよと呼んでいる








朝起きると真っ白な雪道が続く


その雪道を野ウサギと狐が歩く


やはりここは僕たちの原っぱだ


幼い日に兄と朝が晩まで遊んだ


あの兄が遊ぼうとわたしを呼ぶ








寂しい時も悲しい時も一緒いた


腹減る時も満ちる時も一緒いた


新聞配達も豆腐売りもなんでも


幼い頃からふたりでやり遂げた


疲れた父母の喜びを知っていた


やはりそれは兄が教えてくれた


その生き方が二人を支えている













どうしようも無い時


疲れて 眠れない時


兄と歩いた道ばたの


冬草を思い出すのだ