立 葵 [宇 宙]
白雲の流れさえも一緒に
青空は地球を抱えている
立葵の種を 蒔いたのは
一ヶ月ほど前の晴天の日
苗が掌ほどになってきた
明日は雨と予報が流れる
南を仰ぐ土手に植える際
不覚にも後方に転倒する
その場にしばしうずくむ
痛みが遠ざかると周りは
すっかりと闇の中にある
「だいじようぶ?]との声
見回したが 誰もいない
烏骨鶏達の吾を呼ぶ声で
はっと蘇ると明るくなる
果たして あの声は誰か
右手には移植ベラを持ち
左手には立葵の苗ひとつ
遠く南の空を眺めてから
「貴女なの」と立葵を見る
地球は宇宙の流れに乗り
宇宙は地球を抱えている
林羅万象は流れ中にある
コメント 0